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広告レポートの作り方:構成・見る指標・考察の書き方【実物サンプル】

広告レポートの作り方:構成・見る指標・考察の書き方【実物サンプル】

この記事のポイント

  • 広告レポートは「サマリー→月別の推移→媒体別→キャンペーン別→CVの内訳→所見と次月のアクション」の順に並べると、結論から細部へ読めます。この記事のサンプルは表紙を含めて全7ページです
  • 指標は、表示回数・クリック数・CV数の3つの数と広告費から、CTR・CPC・CVR・CPAを計算します。売上(CV値)を計測しているならROASも載せます
  • 媒体によって指標の数え方が違います。Google 広告のコンバージョン率の分母は広告インタラクション、Meta広告の「結果」は目的とアトリビューション設定で数えます。計算式と集計した日をレポートに書いておきます
  • 毎月の作業は「データの取得→集計→グラフと表→見出しと所見→確認→送付」の6工程です。取得からグラフまでは自動にでき、所見と確認は人が見ます
  • 各ページの見出しは、何が起きたかを数字入りの一文で言い切ります。合計の行のCTRやCPAは、媒体の数字の平均ではなく合計の数字から計算し直します

広告レポートとは、Google 広告やMeta広告などの配信結果(広告費、表示回数、クリック数、コンバージョン数など)を期間ごとに集計し、数字が変わった理由と次の打ち手を添えて広告主に報告する資料のことです。広告代理店や運用会社がクライアントに毎月出すものは、「月次レポート」「広告運用レポート」とも呼ばれます。

作り方の要点は3つです。

  1. サマリー(結論)から始め、月別の推移→媒体別→キャンペーン別→CVの内訳→所見と次月のアクションの順に並べる
  2. 指標の計算式と、データを取る日を決めて、毎月同じ手順で作る
  3. 各ページの見出しで「何が起きたか」を一文で言い切る

この記事では、架空の食品会社に出す広告運用の月次レポート(全7ページ)を例に、入れる項目、見る指標の定義、毎月の作業手順、見出しと所見の書き方、よくある失敗、作成を楽にする方法をまとめます。サンプルの会社名と数字は、すべて架空です。

この記事は、広告レポートの作成代行(おまかせレポート)を提供している inovie株式会社 が書いています。指標の定義は、Google 広告ヘルプとMetaビジネスヘルプセンターの日本語のページで確かめたものだけを載せています(2026年11月3日に確認)。

広告レポートには、何をどの順番で入れる?

月次の広告レポートに入れる項目と順番は、次のとおりです。クライアントが知りたい順に、結論、理由と細部、次の打ち手と並べています。

順 ページ 入れること 主な指標
1 表紙 宛先、対象期間、作成した会社、作成日 -
2 サマリー 今月の結論と主要な数字を、前月比・目標比と一緒に 広告費、CV数、CPA、CVR
3 月別の推移 直近12か月の推移のグラフと、読み取りのポイント CV数、CPA
4 媒体別の実績 媒体ごとの数字を1枚の表に。計算式は欄外に 広告費からCPAまでの全指標
5 キャンペーン別 キャンペーンをCV数の多い順に並べ、CPAを添える CV数、CPA
6 CVの内訳 媒体別・デバイス別のCVの構成 CV数、構成比、CVR
7 所見と次月のアクション 所見、施策・ねらい・期限の表、来月の目標 目標の広告費、CV数、CPA
広告レポートの全7ページの並びを、3つのまとまりで示した図。結論のまとまりは1 表紙(いつの、誰あてか)と2 サマリー(今月は良かったのか)。理由と細部のまとまりは3 月別の推移(流れの中でどうか)、4 媒体別の実績(どの媒体が成果を出したか)、5 キャンペーン別(どこを直せばいいか)、6 CVの内訳(成果はどこから来たか)。次の打ち手のまとまりは7 所見と次月のアクション(来月は何をするか)。各ページにはサンプルの縮小画像を添えている
図1 広告レポートの7ページと、それぞれが答える問い(サンプルの例)

どのレポートにも入れたいのは、サマリー、媒体別の実績、所見と次月のアクションの3つです。月別の推移とCVの内訳は、季節の動きや、スマートフォンとパソコンの差をクライアントが気にしている場合に足します。週次の速報なら、サマリーと媒体別の2ページで足りることもあります。

実物で見る:広告運用の月次レポート(全7ページ)

おまかせレポートで作ったサンプルを、1ページずつ見ていきます。架空の広告代理店「株式会社アオバデジタル」が、架空の食品会社「みなと食品株式会社」に出す2026年10月度のレポートです。媒体はGoogle 検索、Google P-MAX、Yahoo! 検索、Meta(Instagram)、LINEの5つで、数字はすべて架空です。

ページ番号は、表紙を1ページ目として数えています(スライドの右下の番号は、表紙を除いて振っています)。

1ページ目:表紙

宛先「みなと食品株式会社 御中」、対象期間「2026年10月度(10/1〜10/31)」、作成した会社「株式会社アオバデジタル」とロゴ、作成日「2026.11.05」を入れています。作成を外に任せている場合も、表紙に入るのは作成した代理店の名前だけです。

2ページ目:サマリー

広告運用レポートのサマリーページ。見出しは「CV数は前月比+18.2%の312件。CPAは4,821円で、初めて目標の5,000円を下回りました」。広告費1,504,000円(前月比+6.1%、予算消化率97.0%)、CV数312件(前月比+18.2%、目標達成率104.0%)、CPA 4,821円(前月比−10.3%、目標5,000円以下)、CVR 2.86%(前月差+0.36pt、クリック数10,910)の4行に、一言ずつコメントを添えている

今月の結論を、4つの数字で見せるページです。各行に「前月比」と「目標との比較」を並べ、右に一言のコメントを置いています。クライアントがこのページだけ読んでも、今月が良かったのか悪かったのかが分かる形にします。

3ページ目:月別の推移

月別の推移のページ。2025年11月から2026年10月までの12か月のCV数を棒グラフ、CPAを折れ線で重ね、CPAの目標5,000円を点線で引いている。10月の棒だけ濃い色で312件、吹き出しに前月比+18.2%。右の「ポイント」に、CV数は過去12か月で最多、CPAは初めて目標を下回った、1月の落ち込みは年始の配信停止によるもの、と書いている

直近12か月のCV数を棒、CPAを折れ線で重ねています。今月の棒だけ色を変え、目標の線を引くと、今月の位置がひと目で分かります。右の「ポイント」では、1月の落ち込みが年始の配信停止によるもので毎年同じ傾向だと説明しています。

4ページ目:媒体別の実績

媒体別の実績のページ。Google 検索、Google P-MAX、Yahoo! 検索、Meta(Instagram)、LINEの5行と合計の行に、広告費、表示回数、クリック数、CTR、CPC、CV数、CVR、CPA、CVの前月比を並べた表。合計は広告費1,504,000円、表示回数1,089,700回、クリック数10,910回、CTR 1.00%、CPC 138円、CV数312件、CVR 2.86%、CPA 4,821円。欄外にCTR・CPC・CVR・CPAの計算式を書いている

5つの媒体の数字を1枚の表にまとめています。欄外には「CTR=クリック数÷表示回数、CPC=広告費÷クリック数、CVR=CV数÷クリック数、CPA=広告費÷CV数」と計算式を書いています。媒体ごとに画面の指標の名前や数え方が違うため、レポートでどう計算したかを書いておくと、数字を聞かれたときに答えやすくなります。

5ページ目:キャンペーン別

キャンペーン別のページ。8つのキャンペーンをCV数の多い順に横棒で並べ、右にCPAを添えている。指名キーワード(検索)64件・CPA 1,500円、P-MAX 全商品61件・5,213円、Yahoo! 検索 指名+一般52件・4,538円、一般KW「ギフト 食品」46件・5,391円、一般KW「お取り寄せ」38件・7,053円、Meta リール動画24件・5,917円、Meta カルーセル14件・7,571円、LINE 友だち追加13件・6,923円。CPAが目標以下の棒は濃い色、7,000円を超えるCPAは赤字

キャンペーンをCV数の多い順に並べ、CPAを横に添えています。CPAが目標の5,000円以下のものは濃い色の棒にし、7,000円を超える2つ(一般KW「お取り寄せ」7,053円、Meta カルーセル 7,571円)はCPAを赤字にして、どこを直すかを色で示しています。

6ページ目:CVの内訳

CVの内訳のページ。左に媒体別のCV構成のドーナツ(Google 検索148件・47.4%、Google P-MAX 61件・19.6%、Yahoo! 検索52件・16.7%、Meta 38件・12.2%、LINE 13件・4.2%)、右にデバイス別のドーナツ(スマートフォン236件・75.6%、パソコン64件・20.5%、タブレット12件・3.8%)。下に、検索広告のCVは200件で全体の64.1%、スマートフォンのCVRは3.1%でパソコンは2.2%、と書いている

媒体別とデバイス別のCVの構成を、ドーナツと一覧で並べています。件数と割合の両方を書き、下に「LPの改善はスマートフォンの表示を優先します」と、数字から決めたことを1行で添えています。

7ページ目:所見と次月のアクション

左に所見の3項目、右に「施策・ねらい・期限」の表(4行)と、11月の目標(広告費1,600,000円、CV数330件、CPA 4,850円以下)を置いています。来月のレポートでは、この表の施策がどうなったかから書き始めます。書き方は、このあとの「見出しと所見の例文」で取り上げます。

全ページの画像と、作成前のデータ、自動にできるところと人が見るところは、広告運用レポートのサンプルにまとめています。

広告レポートで見る指標と、計算式は?

広告レポートの指標は、表示回数・クリック数・CV数という3つの「数」と広告費から、率と単価を計算したものです。定義は、Google 広告ヘルプの用語集のページで確かめたものです。

指標 意味と計算式 Google 広告ヘルプでの名前 サンプルのページ
広告費 期間中に広告にかかった費用 費用 2・4・7
表示回数 広告が表示された回数(ヘルプ) 表示回数 4
クリック数 広告がクリックされた回数。サイトが開けなかった場合なども数えるため、サイトの訪問数とは一致しない(ヘルプ) クリック数 2・4
CTR クリック数÷表示回数(ヘルプ) クリック率 4
CPC 広告費÷クリック数(ヘルプ) 平均クリック単価 4
CV数 購入・問い合わせなど、成果として決めた行動の数 コンバージョン 2〜7
CVR CV数÷クリック数。Google 広告の画面では、CV数÷広告インタラクション数(ヘルプ) コンバージョン率 2・4・6
CPA 広告費÷CV数(ヘルプ) 平均コンバージョン単価 2〜5・7
ROAS CV値(売上)÷広告費×100%(ヘルプ) コンバージョン値 / 費用(100倍すると%) (サンプルにはない)
予算消化率 広告費÷予算 (レポートで計算) 2
目標達成率 実績÷目標 (レポートで計算) 2
指標のつながりの図。サンプルの10月の合計で、表示回数1,089,700回からクリック数10,910回へ(CTR 1.00%)、クリック数からCV数312件へ(CVR 2.86%)とつながる。広告費1,504,000円をクリック数で割るとCPC 138円、CV数で割るとCPA 4,821円。ROASはCV値(売上)を広告費で割って100を掛けたもので、このサンプルにはCV値の列がないため載せていない
図2 3つの数と広告費から、率と単価を出す(数字はサンプルの架空の合計)

ROASは、売上の金額(CV値)を計測している場合に使います。このサンプルは件数で成果を見る設定のため、ROASを載せていません。

媒体によって、指標の名前と数え方が違う

複数の媒体を1枚の表に並べるときは、次の違いに気をつけます。

  • Google 広告のコンバージョン率:CV数を「コンバージョンまで追跡できる広告インタラクションの合計数」で割ったものです(Google 広告 ヘルプ「コンバージョン率」)。サンプルのようにクリック数で割り直すと、管理画面の率と少しずれることがあります
  • Google 広告の[コンバージョン]列と[すべてのコンバージョン]列:[コンバージョン]列はメインのコンバージョン アクションの数で、[すべてのコンバージョン]列はサブのアクションやビュースルー コンバージョンも含みます(Google 広告 ヘルプ「コンバージョン トラッキング データについて」)。どちらを使うかを決め、毎月そろえます
  • Meta広告の「リンククリック」:広告主が指定したリンク先への誘導につながった、広告内のリンクのクリック数です。スワイプなどの操作も含みます(Metaビジネスヘルプセンター「リンククリック」)。関連する指標として「CTR(リンククリックスルー率)」「CPC(リンククリックの単価)」があります
  • Meta広告の「結果」:選んだ目的と広告の設定にもとづいて数えます。初期設定のアトリビューションは、クリックから7日間、表示から1日間、エンゲージメントから1日間です(Metaビジネスヘルプセンター「結果」)

数え方の違う数字を「CV数」として合計するときは、どの列を使ったかを欄外に書きます。サンプルの4ページ目に計算式を書いているのも、このためです。

どの指標を主役にするかは、広告の目的で決める

広告の目的 主役にする指標 添える指標
問い合わせ・資料請求を増やす CV数、CPA CVR、CPC
ECの売上を増やす 売上(CV値)、ROAS CV数、CPA
商品やお店を知ってもらう 表示回数、クリック数 CTR、CPC

サマリーに載せる指標は、目的に合う4つ前後に絞ります。サンプルは広告費・CV数・CPA・CVRの4つをサマリーに置き、残りを媒体別の表に回しています。

広告レポートの作り方:毎月の6つの工程

毎月の作業は、データの取得から送付までの6つの工程に分かれます。

毎月の広告レポートの6つの工程の図。自動にできる工程は、1 データを取る(管理画面・API・目標のシート)、2 集計する(媒体別・前月比・目標比)、3 グラフと表を入れる(テンプレートの決まった場所に)。人が見る工程は、4 見出しと所見を書く(事実、原因の仮説、次の打ち手)、5 確認する(元データと突き合わせる)、6 送る(PDF・共有ドライブ・定例)。初回だけ、CVの定義と目標、使う列と計算式、データを取る日と送る日を決める
図3 毎月の6工程と、自動にできるところ・人が見るところ

初めて作るときに、決めておくこと

  • CVの定義(何を1件と数えるか。Google 広告なら[コンバージョン]列か[すべてのコンバージョン]列か)と、目標のCV数・CPA
  • 対象の媒体とキャンペーン、媒体をまたいだ合計の出し方
  • ページの構成とテンプレート、指標の計算式
  • データを取る日と、クライアントに送る日(「翌月5営業日まで」など)

1. データを取る

Google 広告、Yahoo!広告、Meta広告マネージャ、LINE広告の管理画面から、媒体別・キャンペーン別・デバイス別の数字を書き出します。APIやダッシュボードのツールで、取得を自動にしている会社もあります。目標と予算は、クライアントと決めたシートから取ります。

Google 広告の[コンバージョン]列は、コンバージョンが起きた日ではなく、広告がクリックされた日で数えます(Google 広告 ヘルプの「コンバージョンが発生した日時」)。月初に取った前月のCV数は、月末にクリックした人のCVがあとから加わって増えることがあります。データを取った日をメモしておき、レポートにも書きます。

2. 集計する

媒体別・キャンペーン別に合計し、前月比・前年同月比・目標比を出します。合計の行のCTR・CPC・CVR・CPAは、合計の数字から計算し直します(理由は「よくある失敗」で、サンプルの数字を使って説明します)。

3. グラフと表を入れる

推移は棒と折れ線、構成はドーナツ、媒体別は表、とページごとにグラフの種類を決めておきます。毎月同じ場所に同じグラフが来ると、クライアントは前月のレポートと見比べやすくなります。

4. 見出しと所見を書く

数字が固まってから、各ページの見出しと所見を書きます。期間中に設定を変えた日、LPを替えた日、前月に約束した打ち手の結果を運用担当から集めておくと、所見が一般論になりません。

5. 確認する

  • 表・グラフ・本文の数字が、管理画面の数字と一致しているか
  • 媒体の合計と、全体の数字が合っているか
  • 対象期間、表紙の日付、ページの見出しが今月のものになっているか
  • 前月比の符号(+と−)、%とptを取り違えていないか
  • 前月の「次月のアクション」の結果に触れているか

送る前に確かめる項目は、月次レポートを送る前のチェックリスト(PDF・無料)にもまとめています。

6. 送る

PDFでメールする、共有ドライブに置く、定例で画面に映す、など送り方はクライアントと決めます。元のファイルを渡すかどうかも最初に決めます。

取得からグラフまでを自動にする方法(媒体のレポートの定期配信、Looker Studio、スプレッドシート、作成代行)の選び方は「広告レポートを自動化する方法」にまとめています。サイト側の数字(GA4)を月次レポートにまとめる方法は「GA4の月次レポートの作り方」で説明しています。

広告レポートの見出しと所見は、どう書く?(例文)

ページの見出しは、数字の入った一文で言い切る

ページの見出しを「媒体別の実績」のような項目名にすると、何を読み取ればいいかをクライアントが自分で考えることになります。サンプルでは、項目名は左上に小さく書き、見出しには「このページで言いたいこと」を書いています。

ページ 項目名だけの見出し 言い切った見出し(サンプルの例)
サマリー 10月の実績サマリー CV数は前月比+18.2%の312件。CPAは4,821円で、初めて目標の5,000円を下回りました
月別の推移 CV数・CPAの推移 CV数は3ヶ月連続で増加し、過去12ヶ月で最多。CPAは5ヶ月前から下がり続けています
媒体別の実績 媒体別の実績 Google 検索がCVの約半分。MetaとLINEはCPAが6,500円を超え、配分の見直しが必要です
キャンペーン別 キャンペーン別の実績 「お取り寄せ」とMeta カルーセルは、CPAが7,000円台で目標を大きく上回っています
CVの内訳 CVの構成 CVの7割がスマートフォン。検索広告(Google・Yahoo!)でCVの6割強を占めます
所見と次月のアクション 所見と次月のアクション 11月は歳暮需要でクリック単価の上昇が見込まれます。CPAの高い配信を絞り、伸びている検索に寄せます

見出しを並べて読むだけで、レポート全体の話の筋が通るかを確かめると、ページの抜けや順番の誤りに気づけます。

サマリーの一言コメント

サンプルのサマリーでは、4つの数字に次のコメントを添えています。

  • 広告費:予算1,550,000円に対し、ほぼ計画どおりに配信しました。
  • CV数:目標300件を達成。Google 検索が+27件と伸びを牽引しました。
  • CPA:CVの増加に対して費用の伸びを抑えられ、獲得単価が下がりました。
  • CVR:10/6に入れ替えたLPのファーストビューが効いています。

CVRのコメントは、原因を言い切っています。同じ時期にLP以外にも変えたことがあるなら、「LPの入れ替えが主な要因と考えられます」と仮説の形にします。

所見と次月のアクション

サンプルの所見は、次の3項目です。

  1. CVの増加はGoogle 検索(+27件)が中心です。10/6に追加した「ギフト 食品」系のキーワードが46件を獲得しました。
  2. 「お取り寄せ」とMeta カルーセルはCPAが7,000円台です。予算を寄せすぎないよう、入札と素材を見直します。
  3. 11月は歳暮需要でクリック単価が上がる見込みです。指名キーワードの予算は削らずに維持します。

右の表には、「『お取り寄せ』の入札を15%下げ、予算をP-MAXへ移す(CPAの改善、11/8まで)」のように、施策・ねらい・期限を1行ずつ書いています。所見は「事実→原因の仮説→次の打ち手→確認する指標」の順に書くと、翌月の書き出しにつながります。指標別・媒体別・状況別の例文50本は、広告レポートの考察の書き方と例文50にまとめています。

広告レポートでよくある失敗は?

よくある失敗 起きること 防ぎ方
指標をすべて並べ、見出しが項目名だけ 何を読み取ればいいか、クライアントが自分で考えることになる 1ページに伝えることを1つに絞り、見出しで言い切る
合計の行のCTRやCPAを、媒体の数字の平均で出す 合計の数字が実際とずれる 合計の数字から計算し直す
管理画面の数字と、レポートの数字が合わない 「どちらが正しいのか」と聞かれる データを取った日、使った列、計算式を書く
GA4やクライアントの売上の数字と、広告のCV数が合わない 広告の成果を疑われる 数え方の違いを最初に説明し、どちらを正とするか決める
前月のファイルを複製して作り、日付や見出しが前月のまま 「これ、先月と同じグラフでは?」と言われる 期間・表紙の日付・見出しを確認の項目に入れる
前月の「次月のアクション」に触れない やったのか、やらなかったのかが伝わらない 所見の1項目目で、前月の打ち手の結果を書く
CVの定義や計測を変えた月に、そのまま前月比を出す 増減の理由を取り違える 変えた日と影響を所見に書く

合計の行は、合計の数字から計算し直す

サンプルの媒体別の表(架空の数字)で比べます。5つの媒体のCTRを単純に平均すると2.01%ですが、合計のクリック数10,910回を合計の表示回数1,089,700回で割ると1.00%です。CPAも、5つの媒体のCPAの平均は5,467円ですが、合計の広告費1,504,000円を合計のCV数312件で割ると4,821円です。

単純な平均では、表示回数やCV数の多い媒体も少ない媒体も同じ重さで数えられてしまいます。表計算ソフトで合計の行を作るときは、率の列を平均する式になっていないかを確かめます。

管理画面と、GA4・クライアントの数字は合わないことがある

Google 広告ヘルプでは、Google 広告のCVをGoogle アナリティクスやShopifyなどと比べるとき、アトリビューション モデルの違いで最大20%の差が出ることがあるとしています。比べるときは、広告がクリックされた日ではなくコンバージョンが起きた日で数える[すべてのコンバージョン(コンバージョンの日時別)]列を使うよう案内しています(Google 広告 ヘルプ「コンバージョン トラッキング データについて」)。

クリック数とサイトの訪問数も一致しません。Google 広告では、広告をクリックした人がサイトに着かなかった場合もクリックとして数えるためです(Google 広告 ヘルプ「クリックとは」)。

レポートの最初の月に、CV数は広告の管理画面とGA4のどちらを正とするかをクライアントと決め、欄外に書いておきます。

毎月の広告レポートを楽にするには?

クライアントが増えると、月初にレポートの作業が重なります。楽にする方法は、大きく3つです。

テンプレートを整えて社内で作る 自動化する(Looker Studio・Excel→PowerPoint など) 作成を任せる
向いている会社 クライアントが少なく、型がそろっている 取得と集計の量が多く、仕組みを作って直せる人が社内にいる クライアントごとに型が違い、所見の下書きまで手放したい
楽になる工程 構成と計算式に迷わなくなる データの取得、集計、グラフ データの取得から確認、納品まで
社内に残る工程 6工程すべて 見出しと所見、確認、体裁の手直し、仕組みの保守 所見の仕上げ、クライアントへの説明
作った後に誰が回すか 担当者 仕組みを作った人。辞めると止まりやすい 外注先の手順で続く。社内は届いたものを確かめる

自動化を考えている場合は、ダッシュボードを外に作ってもらうときの費用や納品物をLooker Studio の構築を外注する前にに、PowerPointの定例資料にグラフを自動で入れる方法をExcelのグラフをPowerPointに自動反映する3つの方法にまとめています。作成を任せる場合の範囲、費用の相場、ツールとの違いは広告レポート作成代行とはで比べています。

おまかせレポートは、3つ目の「作成を任せる」方法です。広告アカウントとGA4の閲覧用の権限、または共有ドライブに入れていただいたデータから、クライアントごとの型のままレポートを作ります。AIと人で作成し、数字は人が元データと突き合わせて確かめます。所見は数字の変化から下書きし、御社の担当者が確認して、御社の名前で出していただく形です。料金は初期費用0円、基本料金が月額3万円(税別、5件まで)、6件目からは1件につき月5,000円です。データを社外に出せない場合は、御社の環境で動く仕組みを手順書と一緒に納品する「レポート自動化」(個別見積り)もあります。

広告代理店向けの頼み方は広告代理店・Web運用会社向けのページにまとめています。今のレポートを1本お預かりして、同じ型で1回分を作る無料のお試しも受け付けています。

よくある質問

Q.広告レポートは何ページくらいにすればいいですか?

決まりはありません。この記事のサンプルは、表紙・サマリー・月別の推移・媒体別・キャンペーン別・CVの内訳・所見と次月のアクションの全7ページです。1ページに伝えることを1つに絞り、定例の時間内に読み切れる量にします。週次の速報なら、サマリーと媒体別の2ページで足りることもあります。

Q.広告レポートにはどの指標を載せればいいですか?

表示回数、クリック数、CV数、広告費と、そこから計算するCTR、CPC、CVR、CPAが基本です。売上(CV値)を計測しているならROASも載せます。サマリーには広告の目的に合う4つ前後に絞り、残りは媒体別の表に回すと読みやすくなります。

Q.Google 広告の管理画面とGA4で、CV数が合わないのはなぜですか?

数え方が違うためです。Google 広告ヘルプでは、アトリビューション モデルの違いで最大20%の差が出ることがあるとしています。比べるときは[すべてのコンバージョン(コンバージョンの日時別)]列を使い、レポートにはどちらの数字を正とするかを書いておきます。

Q.広告レポートはExcel、PowerPoint、Looker Studioのどれで作ればいいですか?

クライアントがどう読むかで決めます。定例で説明しながら見せるならPowerPoint、いつでも最新の数字を見たいならLooker Studioのようなダッシュボード、数字を加工して使いたいならExcelが向いています。データの取得と集計は、どれを選んでも自動にできます。

Q.前月のレポートは、月初のいつ作ればいいですか?

提出日はクライアントとの約束で決めます。ただしGoogle 広告の[コンバージョン]列は広告がクリックされた日で数えるため、月初に取った前月のCV数はあとから増えることがあります。データを取った日をレポートに書き、大きく変わった場合は翌月のレポートで更新します。

桒谷 一成

inovie株式会社 代表取締役。AIによる業務代行(BPO)と、AIエージェントの開発をしています。自社の月次報告書・サービス資料・見積書もAIで自動作成しています。