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予実管理表をExcelで作る:予算比・差異・着地見込みを毎月同じ型で

予実管理表をExcelで作る:予算比・差異・着地見込みを毎月同じ型で

この記事のポイント

  • 予実管理表とは、勘定科目ごと・月ごとに予算と実績を並べ、差異・予算比・累計・着地見込みを出す表です。Excelでは予算・実績・予実(比較)の3シートを基本に、着地見込み用の見込みのシートを足します
  • 予算・実績・見込みのシートは、科目の行と12か月の列を同じ並びにします。予実のシートは対象月のセルを1つ変えるだけで、当月と累計が SUMIFS で出るようにします
  • 達成率は、累計の予算比(累計実績÷累計予算)と、年間予算に対する進捗率(累計実績÷年間予算)の2つです。進捗率は経過月数の割合ではなく、累計予算÷年間予算と比べます
  • 着地見込みは「累計実績+残りの月の見込み」です。記入例の営業利益は10月の単月で予算を上回っていますが、着地見込みは478.9百万円で、年間予算にあと1.1百万円届きません
  • よくある失敗は、予算を途中で書き換える、単月と累計を混ぜる、実績の締めのタイミングがずれる、の3つです

予実管理表とは、勘定科目ごと・月ごとに予算と実績を並べ、差異・予算比・累計・着地見込みを出す表です。予算と実績を比べて差を見る管理は、一般に予実管理(予算実績管理)と呼ばれます。この記事では、その表を Excel(エクセル)で作るときの組み方を説明します。

シートは「予算」「実績」「予実(比較)」の3枚を基本にし、着地見込みを出すなら「見込み」のシートを1枚足します。予算・実績・見込みは同じ形(科目×12か月)にそろえ、予実のシートは対象月のセルを1つ変えるだけで、当月・累計・着地見込みが数式で出るようにします。毎月することは、実績を入れる、見込みを直す、対象月を変える、の3つになります。

経営会議に出す資料の構成は経営会議資料の作り方に、差異の理由の書き方は予実差異のコメントの書き方と例文にまとめています。この記事は、その元になる Excel の表の作り方を扱います。

この記事は、月次レポートの作成代行(おまかせレポート)を提供している inovie株式会社 が書いています。記入例の会社名と数字はすべて架空です。数式は、Microsoft の公式ヘルプで書式と引数を確かめた関数だけを使っています。会計処理や税務の判断には触れません。

予実管理表には何を入れる?行・列・比べる数字

予実管理表の基本は、行に勘定科目、列に月を並べた表です。そこに、比べるための数字を足していきます。

入れるもの 中身 わかること
行:勘定科目 売上高、売上原価、売上総利益、販管費とその内訳(人件費・広告宣伝費など)、営業利益、経常利益。月次の試算表の並びに合わせる どの科目がずれたか
列:12か月 期首の月から12か月(3月決算なら4月〜3月)と年間の合計 いつずれたか。季節の山はどこか
当月の差異・予算比 差異=実績−予算、予算比=実績÷予算 今月は計画どおりか
累計の差異・予算比 期首から当月までの合計で、同じ計算をする ここまでのペースは計画どおりか
年間予算・進捗率 進捗率=累計実績÷年間予算 年間の何割まで来たか
着地見込み 累計実績+残りの月の見込み 期末にいくらで終わりそうか

差異の向きは、すべての行で「実績−予算」にそろえます。費用の行では、+は予算より多い(超過)という意味になります。行ごとに向きを変えると、読む人が毎回考え直すことになります。

当月と累計を予算と並べた形は、経営会議資料のサンプルの損益のページと同じです。予実管理表は、このページの数字を出すための表です。

経営会議資料のサンプルの損益の予実のページ。売上高から経常利益までについて、当月実績・予算・予算比・前年同月・前年比・累計実績・累計予算比を1つの表に並べている。売上高は当月412.6百万円で予算比103.7%、累計2,684.1百万円で累計予算比101.3%。営業利益は当月43.6百万円で予算比103.3%だが、累計239.4百万円は累計予算比98.9%で赤い文字。単位は百万円、累計は4月〜10月

このページの当月と累計の列は、この記事の「予実」のシートで出した数字を写せば埋まります。報告書の形でそのまま使うなら、同じ数字の記入例が入った月次決算報告書のテンプレート(Excel)があります。予実管理表は、その手前で12か月分の予算と実績を持っておくための表です。

シートはどう分ける?予算・実績・見込み・予実の4枚

4枚の役目と、毎月さわるところを図にしました。

予実管理表のシートの組み方の図。上に同じ形(科目×12か月)の3枚を並べている。予算のシートは期初に決めたら書き換えない、実績のシートは締まった月だけ試算表の当月の金額を入れる、見込みのシートは期初に予算を値で貼り、見通しが出た月だけ書き換える。その下に期の月番号の帯があり、4月が1、10月が7、3月が12。対象月を7にすると、月番号が7以下の列が累計、7の列が当月、7より大きい列が残りの月になる。いちばん下が数式だけの予実のシートで、対象月のセルに7を入れると、営業利益は当月43.6百万円(予算比103.3%)、累計239.4百万円(累計予算比98.9%)、着地見込み478.9百万円(年間予算比99.8%)と出る
図1 毎月さわるのは、実績を入れる・見込みを直す・対象月を変えるの3か所だけ(数字は架空の会社の2026年10月度)

予算のシート:期初に決めたら書き換えない

  • 科目×12か月と、年間の合計の列を作ります
  • 3行目に期の月番号(4月=1、5月=2…3月=12)を入れます。予実のシートの数式は、この番号で月を探します
  • 期初に決まった予算を入れたら、書き換えません。期の途中で見直すときは「修正予算」のシートを足します(理由は失敗の節で書きます)

実績のシート:締まった月だけ、試算表の当月の金額を入れる

  • 予算のシートと同じ並びにします
  • 月次の試算表から、その月の金額を入れます。期首からの累計の金額ではありません
  • 締めが確定した月だけ入れます。速報で入れた月は、月の名前の上に「速報」と書き、確定したら数字を直して「確定」に書き換えます
  • 単位(千円・円)を予算のシートとそろえます

見込みのシート:残りの月の見通しを置く

  • 予算のシートと同じ並びにして、期初に予算の数字を値で貼っておきます
  • 毎月、部門から見通しが出た月だけを書き換えます。終わった月の数字は、予実のシートの式が拾わないので、そのままでかまいません
  • 売上総利益や営業利益の行は、このシートの中でも、売上と費用の行から計算する式にしておきます

予実のシート:数式だけにして、対象月のセルを1つ変える

  • セル C2 に対象月の月番号を入れます(2026年10月なら7)。毎月変えるのは、このセルだけです
  • 当月・累計・年間・着地見込みの列は、すべて数式にします。手で数字を打たないようにします

4枚とも、科目の行の並びを同じにします。こうしておくと、1行目に書いた数式を下の行にコピーするだけで全科目が埋まります。科目を足すときは、4枚とも同じ位置に行を挿入します。

並びがずれていないかは、予実のシートの右端の列に =A5=予算!$A5 と入れて下にコピーすると確かめられます。比較の演算子「=」は、2つの値が等しければ TRUE、違えば FALSE を返します(Microsoft サポート:演算子と Excel での優先順位)。FALSE の行があれば、どこかのシートで行がずれています。

当月・累計・予算比はどんな数式で出す?(SUMIFS・IFERROR)

ここからは、次の形で作ったとして数式を書きます。

予算・実績・見込みのシート(同じ形)
  3行目   B3〜M3:期の月番号 1〜12(4月=1、10月=7、3月=12)
  4行目   B4〜M4:月の名前(4月〜3月) N4:年間
  5行目〜 A列:科目(売上高、売上原価…) B〜M列:各月の金額

予実のシート
  C2      :対象月の月番号(2026年10月なら 7)
  5行目〜 A列:科目(予算のシートと同じ並び)

予実のシートの5行目(売上高)に、次の式を入れます。6行目から下は、この行をコピーします。

B5 当月の予算     =SUMIFS(予算!$B5:$M5,予算!$B$3:$M$3,$C$2)
C5 当月の実績     =SUMIFS(実績!$B5:$M5,実績!$B$3:$M$3,$C$2)
D5 差異           =C5-B5
E5 予算比         =IFERROR(C5/B5,"")
F5 累計の予算     =SUMIFS(予算!$B5:$M5,予算!$B$3:$M$3,"<="&$C$2)
G5 累計の実績     =SUMIFS(実績!$B5:$M5,実績!$B$3:$M$3,"<="&$C$2)
H5 累計の差異     =G5-F5
I5 累計の予算比   =IFERROR(G5/F5,"")

SUMIFS で「対象月の列」と「対象月までの列」を足す

SUMIFS は、条件に合うセルの値を合計する関数です。書式は SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲1, 条件1, …) で、条件には 32 や ">32" のような値のほか、セル参照も書けます(Microsoft サポート:SUMIFS 関数)。

  • 当月:売上高の行(B5〜M5)のうち、月番号の行(B3〜M3)が対象月(C2)と同じ列を合計します。条件に合う列は1つなので、その月の金額がそのまま出ます
  • 累計:条件を "<="&$C$2 にして、月番号が対象月以下の列(4月〜対象月)を合計します。記号とセルを & でつなぐ書き方は、COUNTIFS 関数のヘルプの例("<" & A6)と同じです
  • 合計対象範囲と条件範囲は、同じ数の行と列にする必要があります(SUMIFS のヘルプ)。ここではどちらも1行×12列なので、月が横に並んだ表でもそのまま使えます

$ の付け方にも意味があります。$B5:$M5 は列だけを固定しているので、下の行にコピーすると科目の行が1つずつ下がります。$B$3:$M$3(月番号の行)と $C$2(対象月)は、行と列の両方を固定します。

IFERROR で、予算が空欄の科目のエラーを消す

予算が空欄や0の科目は、割り算が #DIV/0! のエラーになります。IFERROR は、式がエラーになったときに代わりの値を返す関数で、書式は IFERROR(値, エラーの場合の値) です(Microsoft サポート:IFERROR 関数)。ここでは空欄("")を返すようにしています。

率の行は SUMIFS で足さない

粗利率や営業利益率の行だけは、上の SUMIFS の式をコピーしません。月ごとの率を足したり平均したりせず、同じ列の金額から割り算で出します。累計の粗利率なら、累計の売上総利益÷累計の売上高です。記入例では 1,071.9÷2,684.1=39.9% になります。月ごとの率を平均すると、売上の大きい月と小さい月が同じ重さで数えられてしまいます。

記入例:対象月を7(2026年10月)にしたとき

経営会議の月次業績報告のサンプルと同じ、架空の会社の2026年10月度の数字です(単位:百万円、累計は4月〜10月)。

科目 当月の予算 当月の実績 差異 予算比 累計の予算 累計の実績 差異 累計の予算比
売上高 398.0 412.6 +14.6 103.7% 2,650.0 2,684.1 +34.1 101.3%
売上総利益 159.2 165.0 +5.8 103.6% 1,060.0 1,071.9 +11.9 101.1%
販管費 117.0 121.4 +4.4 103.8% 818.0 832.5 +14.5 101.8%
営業利益 42.2 43.6 +1.4 103.3% 242.0 239.4 −2.6 98.9%
経常利益 41.0 42.1 +1.1 102.7% 236.0 233.0 −3.0 98.7%

販管費の予算比103.8%は、費用なので予算を超えた(悪い)向きです。営業利益は当月で予算を1.4上回っていますが、累計では予算比98.9%で、あと2.6届いていません。単月だけを見ていると気づきにくいずれを、累計の列で拾えます。

達成率と着地見込みはどう出す?

予実のシートに、年間の列を4つ足します。

J5 年間予算       =SUM(予算!$B5:$M5)
K5 進捗率         =IFERROR(G5/J5,"")
L5 着地見込み     =G5+SUMIFS(見込み!$B5:$M5,見込み!$B$3:$M$3,">"&$C$2)
M5 着地の予算比   =IFERROR(L5/J5,"")

SUM は範囲の値を合計する関数です(Microsoft サポート:SUM 関数)。着地見込みは、累計の実績(G5)に、見込みのシートの「月番号が対象月より大きい列」(11月〜3月)を足したものです。

達成率は2つある:累計の予算比と、年間予算に対する進捗率

「達成率」と呼ばれる数字には、答える問いが違う2つがあります。

式 答える問い 記入例の売上高 記入例の営業利益
累計の予算比 累計実績÷累計予算 ここまで計画どおりのペースか 101.3% 98.9%
進捗率 累計実績÷年間予算 年間の何割まで来たか 55.9% 49.9%

進捗率は、経過した月数の割合(10月なら7÷12=58.3%)と比べないようにします。予算は毎月同じ額とは限らないからです。記入例の会社は導入支援の売上が年度末の3月に増えるため、経過月数の割合と比べると、売上高も営業利益も遅れているように見えてしまいます。

比べる相手は、累計予算÷年間予算(予算どおりなら、ここまでに年間の何割まで来ているはずか)です。記入例では売上高が55.2%、営業利益が50.4%です。売上高の進捗率55.9%は予算より先に進んでいて、営業利益の49.9%は少し遅れています。

着地見込みは「累計実績+残りの月の見込み」

残りの月に何を置くかで、着地見込みの意味が変わります。

残りの月の置き方 着地見込み 向いている場面 気をつけること
予算どおりと置く 年間予算+累計の差異 期の前半で、先の見通しがまだない ずれが続いていても、着地見込みに出てこない
部門の見通しに置き換える 累計実績+見通し(見通しがない月は予算) 受注や契約で、先の売上や費用が読める 見通しの出どころと、書き換えた日を残す
直近の実績のペースで延ばす 累計実績+直近の月の平均×残りの月数 毎月ほぼ同じ額で動く費用 季節の山や一時的な支出を拾えない

記入例では、11月だけを部門の見通しに置き換え、12月〜3月は予算のままにしました。11月の見通し(売上高418.0百万円、営業利益45.5百万円)は、サンプルの「来月の論点」のページと同じ数字です。

経営会議資料のサンプルの来月の論点のページ。左に論点が3つ(累計の営業利益は予算まであと2.6百万円で11〜3月の販管費の配分を見直す、導入支援の稼働率96%への対応、平均受注単価の低下)、右上に決めることの表(下期の販管費の再配分は経営企画で11/16までなど3件)、右下に11月の見通しとして売上高418.0百万円、営業利益45.5百万円、新規受注35件を並べている

年間予算と11月〜3月の予算は、サンプルにはないため、この記事の説明のために置いた架空の数字です(年間予算は売上高4,800.0百万円、営業利益480.0百万円。11月の予算は売上高405.0、営業利益44.0。12月〜3月の予算の合計は売上高1,745.0、営業利益194.0)。

科目 累計実績(4〜10月) 11月(見通し) 12〜3月(予算) 着地見込み 年間予算 着地の予算比
売上高 2,684.1 418.0 1,745.0 4,847.1 4,800.0 101.0%
営業利益 239.4 45.5 194.0 478.9 480.0 99.8%
営業利益の着地見込みの出し方の図。4月〜10月の累計実績239.4百万円に、11月の見通し45.5百万円と、12月〜3月の予算194.0百万円を足すと、着地見込みは478.9百万円になり、年間予算480.0百万円にあと1.1百万円届かない(着地の予算比99.8%)。残りをすべて予算どおりと置いた場合は477.4百万円(99.5%)。下の段は進捗率で、営業利益の進捗率49.9%は経過月数の割合58.3%ではなく、累計予算÷年間予算の50.4%と比べる。双眼鏡で先を見る担当者と、実線の棒(実績)と点線の棒(見込み)のイラスト付き
図2 着地見込みは、終わった月の実績と、残りの月の見込みを足して出す(年間予算と11〜3月の予算は記事の説明のための架空の数字)

残りをすべて予算どおりと置くと、営業利益の着地見込みは 480.0−2.6=477.4(99.5%)です。11月を見通しの45.5に置き換えると、11月の予算44.0より1.5多いので478.9(99.8%)になります。それでも、年間予算にはあと1.1届きません。

10月の単月の予算比(103.3%)だけを見ていると、この差は見えません。着地見込みまで出しておくと、サンプルの論点にある「下期の販管費の再配分」のような手を、期の途中で打つ材料になります。

この記事の組み方(予算・実績・見込み・予実比較)をそのまま使える「予実管理表のテンプレート(Excel)」を無料で配っています。記入例の数字もこの記事と同じです。

予実管理表でよくある失敗は?予算の書き換え・単月と累計・締めのずれ

予実管理表でよくある失敗3つの図。1 予算を途中で書き換える:過去の月の予算比が変わり、配った資料と合わなくなる。例えば広告宣伝費の超過1.6を10月の予算に足すと、超過が表から消える。防ぎ方は予算のシートを保護し、見直しは修正予算のシートに、振り替えはコメントに書くこと(10〜11月の合計は予算どおり)。2 単月と累計を混ぜる:10月の列に試算表の累計2,684.1を写すと、累計の実績が4,955.6、累計の予算比が187.0%と出る。防ぎ方は実績のシートには当月の金額だけを入れ、予実のシートの累計と試算表の累計を毎月突き合わせ、率は金額から割り算で出すこと。3 実績の締めのタイミングがずれる:速報の数字が直らないまま残る、費用を入れる月が予算と実績で違う(予算は賞与を毎月に分け、実績は払った月に入れると、その月だけ人件費が大きく超過して見える)。防ぎ方は月ごとに速報・確定を書き、賞与などを入れる月の考え方を予算と実績でそろえること(決めるのは経理)
図3 3つとも、表の作りと毎月の確かめ方で防げる(数字はサンプルの架空の会社のもの)

予算を途中で書き換える

予算のシートを上書きすると、それまでの月の予算比が変わります。会議で配った資料の数字と、手元の表の数字が合わなくなります。

サンプルの広告宣伝費は、11月の展示会の費用を10月に払ったため、10月は予算を1.6百万円超えました。ここで10月の予算に1.6を足すと、超過は表から消えます。サンプルでは10月の予算を書き換えず、超過として残したうえで、コメントに「11月の予算から振り替え、10〜11月の合計は予算どおり」と書いています(月次決算報告書のテンプレートの記入例と同じです)。

  • 予算のシートは、[校閲]タブの[シートの保護]で、セルを変更できないようにしておきます。ただし Microsoft のヘルプにあるとおり、シートの保護はセキュリティの機能ではなく、ロックされたセルを変更できなくするためのものです(Microsoft サポート:ワークシートを保護する)
  • 期の途中で予算を見直したら「修正予算」のシートを足し、予実のシートに修正予算との比較の列を足します。当初の予算との比較は残します

単月と累計を混ぜる

実績のシートの各月には、その月の金額を入れます。試算表から写すときに、期首からの累計の金額を写してしまうと、予実のシートの累計で二重に足されます。

記入例で、10月の列に売上高の累計2,684.1を写したとします。予実のシートの累計の実績は、4〜9月の合計2,271.5と足して4,955.6になり、累計の予算比は187.0%と出ます。

  • 予実のシートの累計の実績と、試算表の累計の金額を並べ、差が0になるかを毎月確かめます
  • 単月の実績を累計の予算で割る、のような取り違えも起きます。予実のシートの列の見出しに「当月」「累計(4月〜)」を必ず書きます
  • 率の行は、前の節のとおり金額から割り算で出します

実績の締めのタイミングがずれる

  • 速報の数字で入れた月を、確定したあとに直し忘れると、翌月の会議で前月の数字が合わなくなります。実績のシートの月の名前の上に「速報」「確定」を書き、会議資料にも速報の月はそう書きます
  • 費用をどの月に入れるかの考え方が、予算と実績で違うと、その月だけ大きな差異が出ます。たとえば賞与や年払いの費用を、払った月に入れるか、毎月に分けて入れるかです。どちらにするかは経理で決め、予算と実績でそろえます
  • 部門のKPIや売上明細と、試算表とで締める日が違うと、同じ月の数字が合いません。締め日から会議までの段取りは、経営会議資料の作り方の「締め日からの段取り」の表を使えます

Excelで回すのが限界になる目安は?次の手は?

ここまでの形なら、部門が少なく、表を作る人が1人のうちは Excel で回せます。次のようなことが毎月起きるようになったら、作り方を見直す時期です。

  • 部門や店舗ごとに同じ形のブックがあり、全社の合計を手で足している
  • 会計ソフトから出した試算表の科目の並びが変わるたびに、実績のシートを直している
  • 何人かで同じファイルを直していて、どれが最新かわからなくなる
  • 前年、修正予算、部門別、KPIとシートや列を足し続け、どの式がどこを見ているか追えない
  • 予実管理表から会議資料(PowerPoint)への転記と、差異コメントの下書きに、締めのあと何日もかかる
  • 作った人しか直せず、その人が休むと止まる

次の手は、どこで手間がかかっているかで選びます。

次の手 楽になること 向いている場合
取り込みを自動にする 試算表の CSV の貼り付けと並べ直し 社内に Excel に詳しい人がいて、自分たちで直せる
仕組みを作ってもらう(レポートの自動化) 取り込みから予実の表・会議資料までを自動で出す 毎月同じ形のデータが出る。仕組みを社内で持ちたい
作成を任せる 転記・集計・会議資料・差異コメントの下書き 担当が1人で、月初に手が回らない
  • 取り込みを自動にする:CSV をフォルダから取り込み、[すべて更新]で集計まで動かす手順は、Excelで月次報告書を自動作成する手順にまとめています
  • 仕組みを作ってもらう:おまかせレポートのレポート自動化は個別見積りで、御社の環境で自動でレポートが出る仕組みを作り、手順書と一緒に仕組みごと納品します(月額の保守はありません)
  • 作成を任せる:月額3万円(税別、5件まで)からです。試算表と予算のファイルを共有ドライブに入れていただくだけで、御社の書式とトンマナのまま、予実の表と会議資料を作ります。AI と人で作り、人が元データと数字を突き合わせて確認します。差異コメントは下書きとしてお出しし、御社が確認して御社の名前で出します。数字の確定や会計上の判断は御社で行っていただきます

仕上がりのイメージは、経営会議資料のサンプル(全7ページ)で見られます。経営企画・経理の方向けの料金の例やデータの扱いは、経営企画・経理のレポート作成代行のページにまとめています。

今お使いの予実管理表や会議資料を1回分お預かりして、同じ型で作る無料のお試しも受け付けています。任せられるかどうかを、実物で確かめてから決められます。

よくある質問

Q.予実管理表の科目は、どこまで細かく分ければいいですか?

まずは月次の試算表(損益計算書)の科目に合わせ、売上高から経常利益までと、販管費の大きな内訳(人件費・広告宣伝費など)で始めます。部門別に見たいときは、部門ごとに同じ形のシートを作り、全社のシートで合計します。科目を細かくしすぎると、予算を立てる手間と転記の手間が増えます。

Q.期の途中で予算を見直したら、予実管理表はどうしますか?

当初の予算のシートは書き換えずに残し、修正予算のシートを足して、両方と比べられるようにします。予算を上書きすると、それまでの月の予算比が変わり、配った会議資料の数字と合わなくなるためです。見直した月と理由も、シートの上に書いておきます。

Q.着地見込みは、いつ更新すればいいですか?

毎月、実績を入れたときに見直します。見込みのシートの残りの月を部門から集めた見通しで書き換え、変えた月と理由を残します。見通しがない月を予算のままにしておくと、着地見込みは「年間予算+累計の差異」になります。

Q.前年比も同じ表で出せますか?

出せます。予算・実績と同じ形の「前年」のシートを足し、予実のシートに前年の当月と累計の列を加えます。式は予算の列と同じ SUMIFS で、参照するシートだけを変えます。前年と今年で科目の分け方が違うときは、前年の数字を今年の分け方に直してから入れます。

Q.予実管理表や会議資料の作成を外に任せることはできますか?

数字の確定や会計上の判断は社内に残し、転記・集計・会議資料の作成・差異コメントの下書きを任せる形ならできます。おまかせレポートでは、試算表と予算のファイルを共有ドライブに入れていただくだけで、御社の書式のまま作り、人が元データと突き合わせて確認します。

桒谷 一成

inovie株式会社 代表取締役。AIによる業務代行(BPO)と、AIエージェントの開発をしています。自社の月次報告書・サービス資料・見積書もAIで自動作成しています。