この記事のポイント
- 経営会議資料とは、毎月の経営会議(取締役会・幹部会議など)で、業績の数字と、会議で決めてほしいことを経営陣に示す資料です
- 基本の構成は「サマリー → 損益の予算比・前年比 → 部門・商品別 → 差異の理由 → 資金繰り・KPI → 決めてほしいこと」の6つで、毎月同じ順番にします
- 各ページの見出しは結論の1文にします。差異コメントは「いくらずれたか → 理由 → 一時的か続くか → 次の手」の順で書きます
- 数字の色は「良い・悪い」の2色に絞り、費用の科目は予算比が100%を超えると悪い方の色にします。色だけでなく▲や+−の記号でも示します
- 毎月楽にするには、締め日から会議までの段取りとデータの置き場所を先に決め、そのうえでテンプレート・自動化・作成の外注を選びます
経営会議資料とは、毎月の経営会議(取締役会・幹部会議など)で、業績の数字と、会議で決めてほしいことを経営陣に示す資料です。中心になるのは、売上や利益を予算と前年に比べた数字と、予算とずれた理由です。
毎月作る資料なので、いちばん効くのは「毎月同じ型で作ること」です。型が決まっていれば、作る側は数字を入れ替えて理由を書くことに集中でき、読む側は先月と同じ場所を見れば変化がわかります。
この記事では、経営会議資料の基本の構成、各ページの作り方、差異コメントの例文10本、グラフ・単位・色の決め方、毎月同じ型で作るための段取りを、7ページの実物サンプルを使って説明します。会計処理や税務の判断には触れません。
この記事は、月次レポートの作成代行(おまかせレポート)を提供している inovie株式会社 が書いています。サンプルの会社名と数字はすべて架空です。
経営会議資料に入れる項目は?基本の構成6つ
経営会議資料は、経営陣が知りたい順に並べます。「今月は良かったのか」→「どこがずれたのか」→「なぜか」→「お金と先の数字は大丈夫か」→「何を決めればいいのか」の順です。
| 順 | ページ | 載せる数字・内容 | 経営陣が知りたいこと |
|---|---|---|---|
| 1 | サマリー | 売上・利益など3〜4つの数字と、予算比・前年比。結論の1文 | 今月は良かったのか、悪かったのか |
| 2 | 損益の予算比・前年比 | 売上高から経常利益までの当月実績・予算・前年同月・累計 | どの科目がずれたのか |
| 3 | 部門・商品別 | 事業・部門・商品ごとの売上や利益と、12か月の推移 | どこが伸びて、どこが落ちたのか |
| 4 | 差異の理由 | 予算との差が大きい科目の、差額・理由・今後の見通し | ずれは一時的か、続くのか |
| 5 | 資金繰り・KPI | 月末の現預金と今後の見通し、受注・解約率・人数など | お金は足りるか。先行する数字はどうか |
| 6 | 決めてほしいこと | 論点、議題・担当・期限 | この会議で何を決めるのか |
このほかに、表紙と、数字の定義(予算比の計算式、元にしたデータ)を載せた補足のページを付けます。PowerPoint の10枚にすると、次のような並びになります。

取締役会を置く会社では、代表取締役などが3か月に1回以上、職務の執行の状況を取締役会に報告することになっています(>会社法 第363条第2項)。毎月の経営会議資料を同じ型でそろえておくと、こうした報告の材料も月ごとに同じ形でたまっていきます。
実物で見る:経営会議資料のサンプル(全7ページ)
構成のイメージは、実物を見るのが早いです。おまかせレポートで作った、経営会議の月次業績報告のサンプルから3ページを載せます(会社名と数字は架空です)。

サマリー:経営陣が最初に見るページです。数字は3つに絞り、それぞれに予算比と一言の説明を付けています。ページの下に、最後のページで決めてほしいことを先に書いています。

損益の予算比・前年比:当月と累計を1枚の表に入れています。累計の営業利益と経常利益の予算比(98.9%・98.7%)だけが赤い文字になっていて、単月は良くても累計では未達だとわかります。

差異の理由:予算から実績までの差を、要因ごとにウォーターフォール図で示しています。右側に、主な要因を1行ずつ書いています。
残りの4ページ(表紙、事業別の売上、主要KPI、来月の論点)は、経営会議資料のサンプル(月次業績報告)で全ページを見られます。なお、このサンプルには資金繰りのページは入れていません。KPIのページの後ろに足す想定です。
経営会議資料の作り方:ページごとに何を書く?
1枚目のサマリー:数字3つと、結論の1文
サマリーは、ほかのページを読まなくても今月の状況がわかるように作ります。
- 数字は3〜4つに絞る(例:売上高、営業利益、受注残)
- 数字ごとに予算比と前年比を付ける
- 見出しは「売上高・営業利益ともに単月で予算を達成。ただし累計の営業利益は予算比98.9%」のように、結論を1文で書く
- 最後に「今日決めてほしいこと」を1行で予告する
見出しを「エグゼクティブサマリー」や「今月の業績」のような名前だけにしないことが要点です。名前だけの見出しだと、経営陣は数字を読んで自分で結論を出すことになります。
損益の予算比・前年比:当月と累計を1枚に
損益のページは、表で作ります。列は左から「当月実績・予算・予算比・前年同月・前年比・累計実績・累計予算比」の順が読みやすいです。
- 行は売上高、売上総利益、販管費、営業利益、経常利益。粗利率・営業利益率は、その下に小さく入れる
- 予算比は「実績÷予算」、前年比は「実績÷前年同月」と表の下に書いておく
- 率どうしの差は「%」ではなく「pt(ポイント)」で書く(粗利率39.0%→40.0%は「+1.0pt」)
- 当月実績の列だけ薄く色を敷き、目が最初に行く場所を決める
部門・商品別:12か月の推移で見せる
部門や商品の数字は、当月だけでなく12か月の推移で見せます。当月だけだと、季節の山なのか、本当に伸びているのかがわからないからです。サンプルでは、事業別の売上を積み上げ縦棒で12か月並べ、当月の棒にだけ内訳の数字を入れています。
差異の理由:差が大きい科目だけを選ぶ
すべての科目に理由を書くと、大事な差が埋もれます。「差額が100万円以上、または予算比で5%以上ずれた科目」のように、取り上げる基準を先に決めておきます。基準の数字は会社の規模で変えてかまいません。毎月同じ基準で選ぶことが大切です。
営業利益の差を説明するときは、ウォーターフォール図が向いています。予算から実績までを「粗利の増加」「人件費」「広告宣伝費」のように要因ごとの棒でつなぐので、どこで上振れ・下振れしたかが1枚でわかります。Excel 2016 以降なら、[挿入]タブから標準のグラフとして作れます(>Microsoft サポート:ウォーターフォール図の作成)。
資金繰り・KPI:先に動く数字を並べる
損益は過去の結果です。このページでは、来月以降に効いてくる数字を並べます。
- 資金繰り:月末の現預金残高と、今後3か月の入金・出金・残高の見通し
- KPI:新規受注件数、平均受注単価、解約率、従業員数など、売上や費用より先に動く数字
- それぞれ、前月比と目標を並べ、直近6か月の推移を小さな棒グラフで添える
決めてほしいこと:議題・担当・期限の表
最後のページには、数字から出てくる論点と、会議で決めることを書きます。決めることは「議題・担当・期限」の3列の表にすると、会議のあとの確認にもそのまま使えます。サンプルでは「下期の販管費の再配分(経営企画、11/16)」のように3件を並べています。
差異コメントはどう書く?書き方と例文10本
差異コメントは、次の4つを順に書きます。
- 何が、いくらずれたか(差額と予算比)
- 理由(なぜずれたか)
- 一時的か、続くか(来月以降も同じか)
- 次の手・見通し(どうするか、いつ戻るか)
よくあるのは、2で止まってしまうコメントです。サンプルの販管費の超過を例に、直す前と直した後を並べます。

直した後のコメントには、経営陣が次に聞く「いくら?」「続くの?」「どうするの?」への答えが入っています。
以下は、場面ごとの例文です(数字はすべて架空です。単位は百万円)。
- 売上の上振れ(続く):「売上高は412.6百万円で、予算比103.7%(+14.6百万円)でした。SaaSの月額売上が12か月続けて伸びており、この傾向は来月も続く見込みです。」
- 売上の下振れ(一時的):「導入支援の売上は予算比91.2%(−6.8百万円)でした。大型案件1件の検収が11月にずれたためで、11月の売上になる見込みです。年間の見通しは変えません。」
- 粗利率の低下:「粗利率は38.2%で、予算より1.8pt低くなりました。10月からの仕入単価の値上げを、販売価格にまだ反映できていないためです。12月の価格改定までは同じ水準が続く見込みです。」
- 人件費の超過:「人件費は予算を2.1百万円超えました。導入支援の残業が増えたためです。稼働率96%の状態が続いているため、外注を使うか、採用を前倒しするかを本日の議題とします。」
- 費用の前倒し:「広告宣伝費は予算を1.6百万円超えましたが、11月に予定していた展示会の費用を前倒しで払ったものです。11月の予算から振り替えるため、累計では予算内に収まります。」
- 費用の未消化:「外注費は予算を3.0百万円下回りました。開発案件の着手が12月にずれたためで、費用が減ったのではなく後ろにずれています。12月に同じ額が出る見込みです。」
- 前年に特殊な要因があった月:「営業利益は前年比135.4%ですが、前年10月はシステム移行の一時費用8.0百万円がありました。これを除いた前年比は108.5%です。」
- 単月は達成、累計は未達:「単月は予算を達成しましたが、累計の営業利益は予算比98.9%で、あと2.6百万円届いていません。11〜3月の販管費の配分を見直す案を、最後のページで示します。」
- KPI(先に動く数字):「新規受注は38件で過去最多でしたが、平均受注単価は6.2百万円と2か月続けて下がっています。小型案件の比率が上がっているためで、来月以降の売上単価にも影響します。」
- 資金繰り:「月末の現預金は予算より12.0百万円少なくなりました。取引先1社の入金が翌月5日にずれたためで、11月末には予算の水準に戻る見込みです。」
費用の科目は、予算を下回ると「良い」と読まれがちです。6の例のように、時期がずれただけなのか、本当に減ったのかを書き分けると、翌月に「なぜ急に増えたのか」と聞かれずに済みます。
数字の見せ方:グラフ・単位・色はどう決める?
グラフは「何を見せたいか」で選ぶ
| 見せたいこと | 向いている形 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 1か月分の予算・前年との比較 | 表 | 当月実績の列だけ色をつける |
| 予算から実績までの差の内訳 | ウォーターフォール図 | 縦軸を途中から始めるときは、そう書く |
| 12か月の推移 | 縦棒(実績)と折れ線(予算・前年) | 予算と前年は細い線か薄い色にする |
| 事業別の内訳の推移 | 積み上げ縦棒 | 当月の棒にだけ内訳の数字を入れる |
| KPIの推移 | 小さな棒グラフを並べる | 目標の値を横に書き添える |
| 構成比 | 100%積み上げ横棒 | 項目が多い円グラフは比べにくい |
単位と数字の書き方をそろえる
- 単位は、ページの右上に「単位:百万円」と1回だけ書く。ページごとに千円と百万円が混ざらないようにする
- 百万円なら小数第1位まで、千円なら整数、のように桁をそろえる
- 率の差は「pt」、金額の差は「+」「−」か「▲」で書く。どちらの記号を使うかは社内で1つに決める
- 累計の期間(「累計は4月〜10月」)を表の上に書く
色は2色に絞り、色だけで伝えない

- 「良い・悪い」の色を2色に決める(例:良いは緑、悪いは赤)。それ以外の数字は黒
- 費用の科目は、予算比が100%を超えると悪い方の色にする。売上と同じ向きで色をつけると、販管費の超過が「良い」色になってしまう
- 当月の列や当月の棒だけ濃い色にし、ほかは薄い色にする
- 色だけでなく、▲や+−の記号、「未達」などの文字でも示す。白黒で印刷したときや、色の見分けがつきにくい人にも伝わるようにするためです(>Microsoft サポート:アクセシビリティの高い PowerPoint プレゼンテーションを作成する)
毎月同じ型で作るには?締め日からの段取りとデータの置き場所
締め日から会議までの段取りを決める
毎月バタバタするのは、段取りが決まっていないからです。締め日から会議までに、誰が何をするかを表にしておきます。以下は、月末締めで、試算表が第3営業日に確定する会社の例です。
| いつ | すること | 誰が |
|---|---|---|
| 月末 | 各部門に、データの提出日を連絡する | 経営企画 |
| 第1〜3営業日 | 部門のKPIと売上明細を集める。試算表の確定を待つ | 各部門・経理 |
| 第3営業日 | 損益の組み替え、予算比・前年比の計算、グラフと表の更新 | 経営企画 |
| 第4営業日 | 差異の大きい科目の理由を、部門に確かめる | 経営企画・各部門 |
| 第5営業日 | 見出しの1文、差異コメント、論点の下書き。上長が確認する | 経営企画 |
| 会議の2営業日前 | 資料を配る | 経営企画 |
理由の確認(第4営業日)は、部門の回答待ちで止まりやすいところです。「差額が基準を超えた科目は、翌営業日の昼までに理由を返す」のように、部門との約束も段取りに入れておきます。
データの置き場所を決める
元データ、集計用の Excel、資料の PowerPoint を、月ごとに決まった場所に置きます。
経営会議資料/
00_ひな形/ PowerPoint のひな形、集計用 Excel のひな形
01_元データ/2026-10/ 試算表、予算、部門の売上明細、KPI
02_集計/2026-10/ 損益の組み替えと予算比・前年比の Excel
03_資料/2026-10/ 経営会議資料の PowerPoint と PDF
手順書 段取りの表、数字の定義、作り方
置き場所と一緒に、ファイル名の付け方(例:「2026-10_経営会議資料.pptx」)も決めておきます。担当者が替わっても、この形と手順書があれば同じ資料を作れます。
経営会議資料でよくある失敗
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 見出しが「損益計算書」など名前だけ | 経営陣が数字から結論を探すことになる | 見出しを結論の1文にする |
| 毎月レイアウトが変わる | 先月と比べにくく、作る手間も毎月かかる | ページの順番と表の列を固定する |
| 費用も売上と同じ向きで色をつける | 販管費の超過が「良い」色で表示される | 費用は100%超を悪い方の色にする |
| 千円と百万円が混ざる | 桁を読み違える | 単位をページの右上に1回だけ書き、資料全体でそろえる |
| 理由が「〜のため」で終わる | 「来月も続くの?」と会議で聞き直される | 一時的か続くかと、次の手まで書く |
| 累計を載せない | 単月の達成で安心し、年間の未達に気づくのが遅れる | 損益の表に累計実績と累計予算比を入れる |
| 先月の数字やグラフが残る | 「これ、先月と同じグラフでは?」と指摘される | 数字の転記を減らし、配る前に元データと突き合わせる |
| 決めてほしいことがない | 報告だけで会議が終わる | 最後のページに議題・担当・期限を書く |
先月の数字が残る失敗は、Excel から PowerPoint へのグラフの貼り直しで起きやすいです。貼り直しをなくす方法は、ExcelのグラフをPowerPointに自動反映する3つの方法で比べています。
毎月の作成を楽にする方法は?テンプレート・自動化・作成を任せるの比較
型と段取りが決まったら、作る手間を減らす方法を選びます。
| テンプレートを使う | Excel と PowerPoint を自動でつなぐ | 作成を任せる | |
|---|---|---|---|
| 楽になること | 構成と書式を毎月考えなくてよい | グラフと表の貼り直し | 集計・グラフ・資料の体裁・コメントの下書きまで |
| 社内に残る作業 | 集計、転記、コメント、確認 | 仕組みの手入れ、コメント、確認 | 届いた資料の確認、数字の確定、論点の判断 |
| 費用 | 無料 | 自分で作れば0円。仕組みづくりを頼むと個別見積り | 月額3万円(税別、5件まで)から |
| 向いている会社 | まず型を決めたい | 社内に Excel のマクロや Python を触れる人がいる | 担当が1人で、月初に手が回らない |
- テンプレートを使う:この記事の構成をそのまま PowerPoint にした月次の経営会議資料のテンプレートを用意しています。サマリーから差異の理由、資金繰り、決めてほしいことまでを10枚にまとめています
- 自動でつなぐ:Excel のグラフを PowerPoint に自動で反映する方法は、リンク貼り付け・VBA・Python の3つがあります。ExcelのグラフをPowerPointに自動反映する方法の比較に、動くコードを載せています
- 作成を任せる:おまかせレポートでは、試算表や予算の Excel を共有ドライブに入れていただくだけで、御社のいつものテンプレートと言い回しのまま資料を作ります。AI と人で作り、人が元データと数字を突き合わせて確認します。差異コメントや論点は下書きとしてお出しし、御社が確認して御社の名前で出します。会計上の判断や数字の確定は御社で行い、資料づくりを引き受けます
経営企画・経理の方向けの料金の例や、お預かりするデータの扱いは、経営企画・経理のレポート作成代行のページにまとめています。外注全般の頼み方や費用の相場は、月次レポート・報告書の作成代行とはをご覧ください。
いまの経営会議資料を1回分お預かりして、同じ型で翌月分を作る無料のお試しも受け付けています。今の資料のままで任せられるかを、実物で確かめてから決められます。
よくある質問
Q.経営会議資料は何ページくらいにすればいいですか?
本体は、この記事の6つの構成で7〜10ページに収まります。サンプルは表紙を含めて7ページです。部門ごとの明細や細かい表は、本体に入れずに補足資料として後ろに付けると、会議の時間を論点に使えます。
Q.予算比と前年比は、どちらを載せればいいですか?
両方を載せます。予算比は「計画どおりに進んでいるか」、前年比は「去年より伸びているか」を示し、答える問いが違うからです。前年に一時的な収入や費用があった月は、その影響を除いた前年比も添えます。
Q.差異の理由がまだわからないときは、どう書けばいいですか?
推測で書かずに「確認中」と書き、誰がいつまでに確かめるかを添えます。例:「その他の販管費が予算を0.3百万円超えています。内訳を経理で確認中で、11月10日までに報告します。」
Q.経営会議資料の作成を外に任せても大丈夫ですか?
数字の確定や会計の判断は社内に残し、集計・グラフ・資料の体裁・コメントの下書きを任せる形なら任せられます。おまかせレポートでも、コメントは下書きとしてお出しし、御社が確認して御社の名前で出す形にしています。